AI時代のシステムエンジニアとは?
システム開発の現場で求められる役割が急速に拡大する中、システムエンジニア(SE)は単なる設計担当に留まらず、プロジェクト全体をリードする「開発の中心的存在」となりつつあります。
私は関わってきたプロジェクトを通じ、ここ2年ほど従来のSEに加え、AI時代のSEが果たすべき役割や変化してきていることを感じています。
今回は、次世代のSEとして活躍するためのポイントや役割について具体的に考えてみました。
従来のSEと新時代のSEの違い
項目 | 数年前のSE | 新時代のSE |
---|---|---|
主な業務 | 要件定義、システム設計 | 要件定義、設計、工程管理、開発、チームのリード |
役割 | 設計フェーズでの専門的なサポート | プロジェクト全体を俯瞰し、設計から納品までをリード |
工程管理 | 専任のPMが担当することが多い | 進捗やリソース配分も担当し、効率的なプロジェクト運営を支援 |
デザインスキル | 必須ではない | UI/UXの基本知識を活用し、ユーザー目線の設計が可能 |
開発スキル | 過去に実装をしていた | 設計から実装まで関わる |
コミュニケーション | 開発チーム内での連携がメイン | チーム内外で情報を共有し、プロジェクト全体の調整役 |
学習の重要性 | 主に業務関連のスキルを習得 | 新技術に加え、リーダーシップやチームマネジメントも重視 |
新時代のSEの役割が進化した背景にある要因
新時代のシステムエンジニア(SE)には、かつてのような設計や管理だけでなく、プロジェクト全体を統括し、効率的に進行させる能力が求められるようになっています。この変化には、以下のような技術的・業界的要因が影響しています。
1. マイクロサービス化の促進
従来のモノリシックなシステムから、マイクロサービスアーキテクチャへの移行が進むことで、システムの設計や管理の方法が大きく変わりました。各サービスを独立して開発・デプロイするマイクロサービスアーキテクチャは、柔軟なスケーラビリティや開発の迅速化を可能にしましたが、同時にサービス間の連携やデータの整合性を保つための高い知識と管理能力をSEに求めています。
多くのプロジェクトでディレクターやPMOとしての経験を積んできたSEは、各サービスの特性を理解し、連携やスケーラビリティを考慮した設計が求められます。こうした役割変化は、マイクロサービス化の促進によって、SEが単なる設計者ではなく、全体を見渡す「司令塔」としての役割を担うようになった要因といえます。
2. AIによる役割分担の変化
AI技術の急速な進化により、データ分析や最適化、品質管理といった領域がAIに担われることが多くなりました。これにより、SEはこれまでのようにデータ処理や品質検証に時間を割くのではなく、より高次なプロジェクト全体の設計や管理に集中できるようになっています。
また、AIがプロジェクトの自動化や効率化を支えることで、SEにはAIをプロジェクトに活用するための知識が求められています。プロジェクトで品質向上や自動化にAIを取り入れる経験があり、AIと共存しながらプロジェクトを主導する能力がSEに必要不可欠となっています。
3. SaaS戦国時代による開発手法の変化
現在、SaaSツールが多様化し、システムに必要な機能を個別のSaaSサービスとして導入できるようになりました。これにより、必要なツールを適切に組み合わせることで、SEは大規模な開発プロジェクトにおいても、少ない実装工数で高度なシステムを実現できるようになっています。
プロジェクト管理ツールやクラウドサービスを駆使し、効率的なプロジェクト運営を実現してきました。これにより、SEは必要な機能を迅速に選定・統合する能力が求められ、開発から実装、運用までのすべてを見渡せる柔軟性が必要となっています。
まとめ
このように、マイクロサービス、AI、SaaSの普及が、新時代のSEの役割とスキルに影響を与えています。新しい技術環境下で経験豊富なSEは、システム全体を俯瞰し、プロジェクトを効率的に推進するリーダーシップと柔軟性を発揮できる存在として進化しています。今後も、こうした背景を踏まえた新しいスキルセットがSEに求められることでしょう。テクノロジーの進化とSEの役割拡大
AIやクラウド、IoTなど新技術の進展により、開発プロセスやプロジェクト管理の形も変わってきました。ディレクターやPMO(プロジェクト管理支援役)としての経験を積む中で、AIによる自動化やクラウド活用が日常的に組み込まれている現場も増えています。そのため、SEにはこうした最新技術を迅速に取り入れ、活用する力が求められています。